2013年12月3日火曜日

Clipa in Tokyo

昨夜、新宿3丁目の飲食店立ち並ぶ通りの、隅のビルの地下にある小さな劇場に、イスラエルから来てるtheater ClipaのIditとDima、そして工藤丈輝さんと若林淳さんの舞台を見に行ってきました。

19時開演で、ちょっと遅れちゃったなーと思いながら劇場に着くと、Dimaと淳さんは劇場の入ってるビルの前で煙草吸ってるし、工藤さんも入り口の外にいて、時間間違えちゃったのかな.....って思ったけど合ってる。

余裕だねって言うと、「performance is not インポーターント〜」ってDimaがぎゅぅっと顔近づけてきて、お酒の匂いぷんぷん...。

何だか風貌が3人ともマフィアみたいだし(淳さんなんか特に)、大人の余裕だなぁと思いつつ劇場内へ。
何となく照明が暗くなってきて、Iditもライラ(IditとDimaの子供)と一緒に入って来る。客席で待機。

Dimaが客席でゴソゴソし始めて、バッグの中からガラクタみたいな楽器やおもちゃがガラガラ出てくる。その中で、ラジオみたいな機械からピアノの音が(Dimaが作曲したものに違いない)。メトロノームみたいなリズムをきざむものとで音ができて、ワンダーランドへの入り口を探り始める。

工藤さんのソロ、淳さんのソロが終わる頃にはDima全裸。これは想定外だったんじゃんいかな...  工藤さんも「え”〜〜?」っていうのがまぶたのかすかな動きに表れたような気がする。(っていうか、前ばりなしの全裸ってふつうなんですか?)そうなったら工藤さんも全裸。

工藤さんの踊りは初めて拝見したけど、独特の動きで、見たことのないような身体表現が面白かった。淳さんは大人のしっとりとした踊りで.....。
楽器以外の音は、曽我傑さんがされてた。(前回はBettyの照明と音響をやってくださった、ピナ・バウシュの照明にも関わられてた方。)曽我さんの音もかっこよかった。今度ソロでやる時はぜひお願いさせていただきたいですw

Iditは昨日まで私達のワークショップで教えたり演出する立場だったからか、まだ気持ちが切り替わってない感じだった。そんな頭の中がbusyな中、あえて即興に挑戦するところがすごいと思うし、わたしがIditにとてもシンパシーを感じるところ。
Iditの物語を秘めた、body languageのボキャブラリーの豊富さには目を見張りました。

とにかく、Dimaがカオスをつくり出す。
Dimaの狂人ぶりが面白い。身体も全裸だし心も全裸だし、観てる側は自分に問わずにいられなくなる。そんなに自分のよわさも醜さもさらけ出すことを恐れない生身の人間を目の前にして、わたし自身はどうする?って。
Dimaは身体全部で語りかけてくる。

Iditが手のひらだけの静かな踊りを始めたら、ライラも隣りで踊り始める。
途中で、ライラわたしのひざに小鳥みたいにのってきたり。

そう。本番前にお酒の匂いのするDimaの口から「You do together?
 guest performer?」とか、Iditも舞台から突然「You do !!」とか振ってくるし。わたし思わず「No〜!」と反応してしまったけど、いつでも本番だって気持ち... 覚悟がうすいなー今。頭カチワリタイ。

そんなふうにIditとDimaは、ワンダーランドからの呼び声を届けてくれるのでした。

Thater Clipa  http://www.clipa.co.il/


彼ら、12/17まで日本に滞在、まだ公演あります。わたしは15日に行きます。ご興味ある方は一緒にいきましょ☆☆

『MEN』
イスラエル、シアター界の珠玉シアター・クリッパと
日本の舞踏家による待望の新作。
舞踏にあらず、演劇にあらず、…見世物の始原に溯る道すがら。

12月11(水)、12(木)、13(金)、14(土)日/開演19:30PM
12月15日(日)/開演17:00PM
(会場は開演の30分前を予定)

料金=前売¥2500 当日=¥3000
会場=ゆうど(新宿区下落合3-20-21 tel:03-5996-6153《当日のみ》)
問合せ= tokyoguienkan@gmail.com
tel:03-3416-3170(東京戯園館)
後援=イスラエル大使館

Dima
ShaiとIdit
theater Clipa

2013年6月10日月曜日

フランスの革命と身体

今日、東京日仏学院の講演に行ってきました。
フランスの、マギー・マランというコンテンポラリーダンスの作家の公演が近日中にあるので、それに伴ってのレクチャーです。

『フランスにおけるコンテンポラリー・ダンスの変遷』 
ジャン=マルク・アドルフ

パリの劇場やフェスティバルのプログラムディレクターや舞台評論家を経て、現在はアート誌『Mouvement』の編集発行人をされてる方のレクチャーでした。

フランスのコンテンポラリーダンスが、いつどのような過程を経て生まれたのかというお話や、60年代から90年代までを中心に現在までどのように変わっていったのか、というお話・・・。

フランスはよく自由の国だと言われるけれど、その自由は1968年の五月革命の時に民衆が自分達の力で勝ち取ったものなんだ、ってことがアート、その中でもダンスに関わる出来事を通してとてもよくわかりました。

日本の民主主義は、アメリカに押し着せられた表面的なものだってことが、2011年の震災後に明るみになったわけだけど、これからは自分達の手で本当の民主主義の国をつくっていくのが、今の世代を生きるわたしたちの仕事なんじゃないか、と確認させられた思いでした。
五月革命ってお手本があるじゃないか・・・って。他の国にできたんだから不可能じゃないはず。(そのままお手本に出来るわけじゃないと思うけど、参考に出来ると思う。そう考えると、今までの日本の革命は、例えば安保闘争や全共闘については、成功しなかったわけだけど、失敗から学ぶこともたくさんあると思うので、ぜひその時代を生きた先輩達のお話会のようなものも、ゴールデン街あたりで開催したいな、と思いました。)

フランスの五月革命は、ちょうどフロイトやウィルヘルム・ライヒなんかが流行った時で、革命の中心にあった思想が “性の解放” だったらしいのだけど、「作品を通じて社会における身体の解放、社会体を解放する力をもっている」ダンスは、その革命の中で、フランス社会の中での地位や、国からの経済的な支援を獲得していったんだって。

フランスでは、政治とアートは一緒に成長していったんですね。

フランスは国のアーティストへの支援制度が確立されてて....っていうのも、アーティストが積極的に政治に関わることで築いていったものだ、ということです。(村上隆さん的な戦略も興味深いですが、今の時代の静かなる革命の雰囲気とはちょっと別な感じ。)

来週、埼玉の劇場で公演するマギー・マランという作家が創る作品も、政治的な意識のとても高いものみたいで、どんな作品なのかとても興味があるので、観に行ってみようと思います。

明日も、同じジャン=マルク・アドルフの『芸術と政治ーマギー・マランに見るアーティストの政治意識』というレクチャーに行ってきます☆